『変彩のソテイラ』ライナーノーツ①
- 鈴木デコ
- 9 時間前
- 読了時間: 4分
今回のアルバム、ストーリーは存在しているが決してミュージカルではない。
歌詞も含めて多くを語り過ぎていないので
色んな解釈をしてもらって良いし、
色んな妄想をしてもらって良いと思っている。
とはいえ、ライナーノーツ読むの大好き人間なので
「いち解釈としてこういうのもあるよ」という程度に
制作当時を振り返りながら少しずつ書いておこうと思う。
ネタバレ厳禁勢はぜひ本編聴いた後でどうぞ。
1曲目:貴石の子
5月に企画書とストーリーを書き上げた後、
6月にはほぼオケができていた記念すべき1曲目。
hidekazu氏はいつもデモの時点でほぼ完成形が見えている。
筆が速すぎて毎度驚愕だが、
この世界の美しさと不条理が凝縮された解釈も素晴らしい。
タイトルの『貴石の子』も、
デモの時点で既に付けてくれていたもので、
「これしかないだろう」ということでそのまま採用。
歌詞は国民目線で、
彼らの貴石の子らに向けた常識をありのまま綴った。
輝かしい能力を称えつつ、
それを国や民が栄えるために消費することが当たり前の人々。
歪な様子をマスキングするように、
メロディラインは朗々と歌い上げるように仕立てた。
我々らしさの詰まったコライトになったと自負している。
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キラキラした宝石の世界の物語ということもあり、 美しくも硬質なイメージを表すべく、比較的高音域の弦やGlocken、PadやPluckをふんだんに使いつつ、デコネキのChorusを持ってもらいました。パッと聞いてわかりづらいけど、ラスト以外は7/4拍子。
設定柄、ニクス、ソテイラともにお互いを認識していないこともあり、きれいさの中にちょっとひっかかりを持たせたくて奇数拍子にしています。 最初のChorusの広がりでグッと世界に引き込まれる感じ、いいですよね この曲だけで、よいコライトになると確信できました。
わかる、7拍子って良いよね。
冒頭部分はあえて7拍子に聴こえづらい4拍子っぽいコーラスにすることで
何かちょっと違和感あるけど何がおかしいのかわからない、
という雰囲気作りを意識したコーラスワークにさせてもらっている。
2曲目:Niks
主人公のひとり、ニクスくんのテーマ。
彼は貴石の子として生まれたにもかかわらず、
何の能力も発動できないという「無能」のレッテルを貼られた存在。
与えられることが当たり前になったとき
それを享受できないことに怒りを覚えがちな我々、
そういうサモシイ感情の矛先として描いている。
生まれついたものには抗いようがないという諦めの中に、
持ち前の優しさや懸命さで生きようとする静かな強さを歌った。
何も無いかわりに、誰よりも誠実に生きることで
誰かに、名も知らぬ彼女に、認められたいのである。
まだ少年期を脱しきれていない姿ということにしたかったので、
低音が乗り過ぎないような静かな発声に。
デモを録ったときはファイターかな??という声の張り方だったので
さすがにそれは自重した…。
それにしてもサビのド頭が「に~~」なのは我ながらどうなのかと思うが、
抑圧された彼の心情を語るにはこれくらいが丁度いい気もしている。
ちなみに、超初期のデモではハモリパートが存在していた。
孤独な存在であるはずの彼が誰とハモっているのか、と自問自答した結果
完成版ではハモリはほぼ無くしている。
※超初期デモ
オケは硬質感を意識しつつ、とにかくシンプルに。
華美な生活をしていないであろう彼の朝のひとこまを表している。
冒頭の鐘は朝の合図。
田舎の農村地帯に昔存在した「朝一番に爆音で鳴るサイレン」、それと同じ。
(尚、幼少期の自分はあれがものすごく怖かった 笑)
鐘の音と共に目覚めたニクスは、
代わり映えのしない一日をまっすぐに生きる。
そんな彼の心を支える「まだ見ぬソテイラ」は、
間奏中に笛が奏でるソテイラのモチーフで少しだけ顔を出しているので聴いてみてほしい。
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こちらはデコネキ作詞・作曲・Chorus。 この少年とも青年とも言えるボイス、えっちすぎません? 周りに罵られる辛さ切なさがありつつも、前向きな強さを感じるNiksらしい曲だな、と。 サビのフレーズは、世界観の統一性を目指して後の曲にも少しアレンジされて出てきます。
hidekazu氏にはニクスの声がえっち過ぎるとずっと言われていた…ありがとうありがとう。

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